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その顔をあと少し

 2008年も終わりですね。こんなブログに足を運んでくれた方、もしくは迷い込んでしまった方も、ありがとうございます。出来れば来年もよろしくお願いします。
 考えてみれば、基本コンセプトは土塚マンガなのに、それらしい事はしていない気もします。来年は、何か出来るといいなぁ、と書いておきましょう。そんなわけで、追記部分にはそれっぽい事を。即興で書いてみました。バンブーのショートショートです。僕が作ったへっぽこモンですし、出来に期待しちゃだ・め・だ・ぞ(はぁと

 それでは、あと30分ですが良いお年を~。
 んでもって、新年になってからこれを読んでいる方には、明けましておめでとうございます!

 吹き付ける風が寒くて、思わず身を縮めてしまう。時刻は日が変わるか変わらないかといったところだが、周りは大勢の人で賑わっていた。場所は境内。年が変わるか、変わらないかというタイミングである。
 どうしてこんな所にいるのだろうかと、川添珠姫は自らの事ながら疑問に思った。
「お賽銭あっちみたいだよ」千葉紀梨乃が奥を指差しながら言う。「鐘は突けないだろうから、早く並んじゃおうか」
 その声に同意して、先陣を切るのは桑原鞘子だった。それに遅れを取らないように、珠姫も後を追う。しかし、考え事は続けたままだ。

 テレビからは、今年流行ったポップスが聞こえていた。珠姫は、言われれば聞いた事があるけれども、といった具合のメロディに耳を傾けながら鍋に向かっていた。今年も終わるのだな、と何ともなしに思いながら、2人分の蕎麦を作る準備を進めている。後は、頃合を計って麺を茹で、蕎麦つゆを温めるだけである。
 部活の先輩こと千葉紀梨乃から電話が掛かって来たのは、その時の事である。

「あっちゃぁ、ずいぶん並んじゃってるよ」
「この辺りでは大きな神社ですから、仕方ないですよ、先輩」東聡莉が言った。
「少し間を空けて、端に並んでいてください。俺、何か買って来ますよ」
「お、悪いね勇次くん」
「いえいえ、別に。っと、俺だけじゃ持ちきれないな。それじゃ、栄花君……、は止めておいて、タマちゃんいいかな?」

 川添珠姫と中田勇次は、露店の並びを2人で歩いている。白熱灯の暖かい光と、人々の吐く白い息。朝方まで降っていた雨のおかげか、空は澄んでいる。勇次の手には、参拝の列に並んでいるみんなの分の食べ物。珠姫は紙舟を持っていて、時折勇次がそこからたこ焼きをつまむ。
「今年も色々あったね。まさか、タマちゃんと一緒に剣道部に入ってるなんて、夢にも思ってなかったよ」
「うん、私も」
 会話は弾まない。どこか気まずい雰囲気を感じて、珠姫は居心地が悪かった。普段からみんなと一緒にいるのに、昔から勇次とは仲が良かったのに、最近では2人きりになるとこうなってしまう。早くみんなのところに戻りたかった。
 不意に、周りの人々が手をたたき出す。あけましておめでとう、とあちらこちらから聞こえてきた。
「あ、年が明けたみたいだね。あけましておめでとう」
「うん、あけましておめでとう、ユージくん」
「今年もよろしくね、タマちゃん」
 何故だかわからないが、勇次の微笑んだ顔が、喧騒の中で明るく見えた。いつも見ている顔なのに、特別なものに見える。それはとても、愛おしくて、ずっと見ていたくて。
「今年も、よろしく……」
 こちらに手を振る紀梨乃の姿が眼に映る。珠姫は思う、もう少しだけ、この道が長かったら良かったのに。
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